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病院・薬局トレンド
2024.07.16
【2024年調剤報酬改定】薬剤師が知っておきたい6つのポイント
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2年ごとに行われる調剤報酬改定。薬価は2024年4月1日から、薬価以外の改定は6月1日から施行されています。調剤報酬改定は時に薬局の経営方針を大きく変える重要なものです。いつもは調剤事務スタッフにまかせっきりという人も、ぜひポイントを押さえておいてください。
目次
2024年の全体方針
今回の改定は、団塊の世代が75歳以上になる2025年問題の前に行われる最後の改定。医療・介護の垣根を超えた大きな改革が行われています。全体として、地域支援体制加算、連携強化加算、在宅医療関連項目の新設など「対物業務から対人業務へ」のシフトが鮮明になりました。併せて、医療人材の働き改革、医療DXの有効活用なども推進されています。
具体的に詳しく見てみましょう。
1.診療報酬のアップ
今回、診療報酬全体の改定率は+0.88%と2012年(+1.379%)以来の大きなプラス改定となりました。地域の医薬品供給拠点としての役割を担い、地域医療に貢献する薬局整備の推進、職員の賃上げ実施といった観点から診療報酬全体が引き上げられたのです。
0.88%のうち0.28%は40歳未満の勤務医師・勤務歯科医師・薬局の勤務薬剤師、事務職員、歯科技工所等で従事する者の賃上げに充当することになっています。薬局においてはベースアップ(基本給または決まって毎月支払われる手当の引上げ)が行われるため、勤続年数や役職に関係なく全員一律で給与額などがアップする見込みです。
2.調剤基本料の引き上げ
調剤基本料は各項目で現行から+3点となりました。ただ、一定要件を満たした敷地内薬局などが算定する特別調剤基本料は、A(敷地内薬局)とB(基本料の届出がない薬局)に分類され、Aが-2点、Bが-4点となっています。国は医薬分業の強化のほか、薬局のかかりつけ機能を充実させて地域医療に貢献することを求めているため、通常の調剤基本料と比べて低い設定となっています。
また、調剤基本料2の算定対象拡大による適正化も行われました。調剤基本料2は門前薬局などが算定することが多い項目です。1カ月における処方箋の受付回数が4,000回を超え、かつ、処方箋受付回数が多い上位3つの医療機関の処方箋集中率が合計70%超となる薬局は調剤基本料2を算定することになりました。医療モールにある薬局や医療モールと類似した形態となる薬局が該当します。
3.地域支援体制加算の施設基準・算定基準の変更
2018年の調剤報酬改定より新設された地域支援体制加算。今回の改定では地域における医薬品等の供給拠点として、体制が整備されているかどうかという視点が重視されています。
施設基準には「かかりつけ薬剤師の届出」「在宅薬剤管理で24回以上の実績」「健康サポート薬局の届出要件となるOTC48薬効群の品目の取り扱い」「緊急避妊薬の備蓄」などが加わっています。
地域支援体制加算においては1,2,3,4全てにおいて現行から-7点と大きく減点。加算要件も大きく変わりました。地域医療に貢献する体制があることを示す10項目のうち、クリアしなければならない項目数が増加。満たすべき数字のハードルは下がっているものの、かかりつけ薬剤師指導料等の実績が重視されています。
地域支援体制加算1と3は、かかりつけ薬剤師指導料等の実績が20回以上あることが必須条件です。地域支援体制加算2と4は、夜間・休日等の対応実績、重複投与・相互作用等防止加算等の実績、小児特定加算の算定実績など10項目のうち8項目以上を満たす必要があります。
4.連携強化加算の引き上げ
災害や新興感染症の発生時でも薬局が継続して地域の医薬品供給や衛生管理に関する対応を維持できる体制を評価する観点から、2022年に新設された項目です。
今回の改定で現行の2点から5点にアップし、地域支援体制加算の該当要件は廃止になりました。施設基準に都道府県知事より第二種協定指定医療機関の指定を受けていることが追加され、オンライン服薬指導の体制整備も求められるようになりました。
5.在宅医療に関する項目の新設
ターミナルケアや小児在宅医療に対応した訪問薬剤管理指導の体制を整備している薬局を高く評価するために、既存の在宅患者調剤加算(15点)が廃止され、在宅薬学総合体制加算1(15点)、2(50点)が新設されました。
在宅薬学総合体制加算2はがん末期などターミナルケア患者に対する体制として、医療用麻薬の備蓄・取扱い(注射剤1品目以上を含む6品目以上)、無菌室、クリーンベンチ又は安全キャビネットの整備などが施設に求められます。また、終末期のケアにおける緊急訪問をした場合、夜間で400点、休日に600点、深夜は1000点が新たに算定できるようになりました。
6. 医療DXの推進
電子処方箋、マイナ保険証の利用、電子カルテ情報共有サービス、電子薬歴等の利用率向上のため、医療DX推進体制整備加算が新設されました。電子処方箋を受け付ける体制が整っていること、電磁的記録による調剤録及び薬剤服用歴の管理の体制があること、マイナンバーカードの健康保険証利用について一定の実績があることなど、複数の施設基準を満たす必要がありますが、月に1回、4点を加算できます。
医療DXの推進により、薬剤師は処方箋の情報だけでなく特定健診情報、診療情報等が入手できるようになるため、薬物療法の質を大きく上げることができると期待されています。
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