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薬剤師の仕事・働き方・キャリアに関するトピックスから、最新の薬剤師求人、派遣や単発派遣に関する法律やルールまで。薬剤師の最新事情に精通したアプロ・ドットコムのスタッフが、就職・転職に役立つ記事を配信いたします。

求人トピックス

2024.07.19

アフターコロナで「薬剤師転職が厳しくなった」ってホントですか?

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薬剤師は国家資格が必要な職業のため、正社員、パート、派遣社員とさまざまな働き方で自由に働けるイメージを持っている人も多いのではないでしょうか。

人材不足で売り手市場であると長い間いわれていた薬剤師を取り巻く状況は、ここ数年で大きく変化しました。「薬剤師の転職が厳しくなった」という声が大きくなってきたのです。

厚生労働省が発表した2023年の医師、薬剤師の有効求人倍率は2.15倍でした。全職業の有効求人倍率が1.19倍であることと比較すると需要は高いことがわかります。しかし、新型コロナウイルスの影響前である2019年の医師、薬剤師の有効求人倍率は3.77倍ありました。コロナ禍に受診控えが起こり、時短営業もあったことから2020年に2.49倍、2021年には1.91倍と急激に下がりました。

その状況からは回復が進んできているといえるでしょう。ただし、2015年は6.15倍、2017年は5.57倍と高倍率であった時代と比較すると回復がさらに進んだとしても以前のような状況にはならないのではないかと予測されています。

有効求人倍率が低くなっているということは、求人が減っているということになります。つまり薬剤師の求人数は徐々に減っているのが現状です。では、現在の薬剤師の転職市場は一体どのようになっているのか、なぜ薬剤師の転職が厳しくなったと感じるのか、今回は5つのポイントから解説します。

ポイント1「アフターコロナで即戦力ニーズにシフト」

高齢化や医療の進化によって、薬剤師を取り巻く環境は変わり続けています。近年、最も大きな変化のきっかけは新型コロナウイルスの感染拡大d、薬局と薬剤師の状況は急変しました。

受診控えをする人が増えたことや、来院回数を減らすために医師が長期投与を増やしたことにより処方箋枚数が減少したのです。処方箋の枚数が減ることは薬局の売上に直撃するため、経営の見直しをしなければならない薬局が増加することになりました。

薬局の経営状況が厳しくなると、今まで行ってきた業務を限られた人数でこなすことが求められます。ゆとりのある人数を配置したり、経験の少ない薬剤師をゆっくり育てたりする余裕がなくなってきたのです。その結果、正社員の薬剤師は仕事のスピード感や対応力など求められるレベルが高くなり、派遣薬剤師は一時的に求人が減少しました。

薬剤師の資格があり、ある程度の経験があれば希望の職場で働けるというような状況ではなくなってきたといえるでしょう。採用のための費用や人件費を無駄にしないために、キャリアやスキル、人柄などをしっかりと確認し、能力があり、長くきちんと働いてくれる即戦力の薬剤師を求める流れができています。

派遣薬剤師の状況も変化しました。以前は契約期間とスキルがマッチしていれば細かい要望はなかったのですが、コロナ禍以降、多少の融通が利くことやスピード感があり熱心に働いてくれる能力の高い薬剤師が求められるようになっています。

コロナ禍前の日常を取り戻してきた現在も、忙しい時期のみ、正社員がいない曜日や時間のみ、土日や夜間のみといった限定的かつ即戦力を求める求人が増えています。

ポイント2「ドラッグストアの調剤併設化など競争環境激化」

薬剤師の転職が厳しい理由のひとつとして、ドラッグストアの調剤併設化により調剤薬局の薬剤師の需要が減少していることが挙げられます。

日用品や食品・サプリメント・医薬品などさまざまな商品を取り扱うドラッグストアでは、調剤薬局の併設された店舗が増えています。ドラッグストアは調剤薬局を併設することで、幅広いニーズに対応できるようになります。お客様は処方薬と一緒に食品や飲料、サプリメントや雑貨など、体調に合わせて必要なものを同じ場所で購入できることを便利に感じるでしょう。

調剤薬局と比べて、ドラッグストアは深夜までや24時間営業など営業時間が長く、土日や祝日も開いているため、お客様が利用しやすいところがメリットです。お客様のニーズに応えた結果、調剤併設のドラッグストアが増加しているといえるでしょう。

ドラッグストアの調剤併設化が進み、調剤薬局の需要が従来よりも少なくなってきたことで、求人の数が減ってきています。そのため調剤薬局で働きたい薬剤師にとっては就業環境が厳しくなった気がするかもしれません。

ドラッグストアで働く場合は調剤併設の店舗であっても、調剤やOTC医薬品の販売など薬剤に関わる業務だけでなく、接客やレジ打ち、商品補充や販売促進など、小売業としてのさまざまな業務を担当することになります。

また、営業時間が長いため、勤務はシフト制になることが多く、休みが不規則になりがちです。しかし、ドラッグストアは調剤薬局に比べると給与は高く待遇が良いことが多いようです。ドラッグストアでの勤務を希望する薬剤師にとっては、勤務先の選択肢が広がっている状況ともいえるでしょう。

ポイント3「薬剤師資格保有者の増加」

薬剤師は人材不足で、売り手市場であると長らくいわれていましたが、薬剤師の資格保有者が増加したことで薬剤師不足は解消しつつあります。そのため、他の職業に比べると有効求人倍率が比較的高いにも関わらず、転職が難しくなっている印象があるのでしょう。

2006年度から薬学部が6年制になったものの、全国で薬学部が新設された影響や不況によるダメージも少ないこともあり、現在も薬剤師は人気の国家資格です。そのため今後も資格保有者が増え続けることが見込まれています。薬剤師志望者数と薬剤師の就労環境が大きく変わることがなければ、2045年に薬剤師の供給が需要を上回るとの予測を厚生労働省が発表しています。

買い手市場が進むとひとつの求人に対して応募が殺到するため、さらに転職を難しく感じる可能性があります。薬剤師不足の状況は解消していく流れですが、依然として地域格差は大きい状況です。

今後、より良い条件で薬剤師として働くには地方の求人も視野に入れる必要があるかもしれません。また、希望の転職を実現するためには、単なる薬剤師免許の保有だけではなく、経験を積み、スキルを高め、資格を取得する必要が出てくるでしょう。

薬剤師として働く上で、また転職する際も強みになる資格を紹介します。

・認定薬剤師

認定薬剤師は専門分野に関して高度な知識や技術を持っている薬剤師であることを証明する資格です。認定薬剤師の資格を取るためには、一定の期間内で研修に参加し必要な単位を取得することが必須です。勉強はもちろん研修を受ける時間も作らないといけないため簡単ではありませんが、取得した分野でスペシャリストとして活躍することができます。

認定薬剤師になると専門分野を明確に示すことが可能です。チーム医療や地域医療の一員として医師などの医療従事者と協力する際も、その知識や技術を発揮することができるでしょう。また、管理薬剤師やかかりつけ薬剤師になるために必要な要件のひとつでもあります。

・管理薬剤師

管理薬剤師は調剤薬局の責任者のことで、各薬局に設置することが法律で義務付けられています。医薬品の在庫管理や副作用情報の収集、在籍する薬剤師の教育も担当します。薬剤師としての仕事だけでなく、マネジメント業務も加わります。

管理薬剤師になるためには、実務経験が重視されます。厚生労働省によると、基本的には5年以上の実務経験と認定薬剤師資格保有者で、医療用医薬品や保険調剤業務に関する相応の知識があることが求められます。スタッフや患者様と接する中でコミュニケーションスキルを身につけ、仕事の中で少しずつマネジメントの実績を作っていくことが必要になります。

近年、薬剤師としての勤務経験だけでなく、マネジメントができる管理職としての薬剤師を欲しがる薬局が多い状況が続いているため、管理薬剤師であることは高い評価を得られるでしょう。まずは認定薬剤師をめざし、次に管理薬剤師とキャリアプランを描き目標を持って実務経験を積むことでキャリアアップできれば、転職する際に大きな強みとなるでしょう。

ポイント4「在宅サービスやかかりつけ薬剤師などの強化でコミュニケーション力重視の採用が増加」

高齢化社会が到来し医療費が増加を続ける中、国は医療費削減のためにさまざまな政策を打ち出しています。その影響で、2年に一度改定される調剤報酬も大きく変わっていっています。

平成27年に厚生労働省が発表した「患者のための薬局ビジョン」は、薬剤師の業務について、調剤して患者様に薬を渡すまでの「対物業務」から、薬を飲んだ後まで継続的にサポートをする「対人業務」に変わっていくべきと提言しています。その影響もあり、「在宅薬剤師」「かかりつけ薬局・かかりつけ薬剤師」など地域医療のため、地域住民のための業務に薬局が力を入れることになったのです。

では、今後需要が高まる見込みの業務にはどのようなものがあるのでしょうか。

・在宅医療での在宅薬剤師

高齢者の増加と医療費削減という面から増えているのが自宅療養です。自宅療養では在宅医療チームのサポートを受けることになります。在宅医療チームは、医師を中心に、看護師、医療ソーシャルワーカー、介護士、ケアマネジャーなどに加え、薬剤師も必須の存在です。

薬剤師は「在宅薬剤師」として、在宅医療チームのメンバーと患者様やその家族などとも関わることになります。患者様の自宅を訪問し、薬剤の提供、管理、飲み合わせや副作用などの確認などの業務を行います。

・かかりつけ薬局/かかりつけ薬剤師

かつてはほとんどの調剤薬局が病院前の門前薬局だったため、医療機関を受診するたびに違う調剤薬局で処方を受ける人が大半でした。しかしその場合、診療科を横断して総合的に患者様のことを見守る専門家が存在しません。

重複投与や飲み合わせ、残薬管理などの薬剤情報をひとつにまとめて把握し、サポートするための仕組みが「かかりつけ薬局」と「かかりつけ薬剤師」です。高齢化が進む中、さまざまな薬剤を自分で管理するのが難しくなってきた人にとっても頼もしい存在になるでしょう。

「在宅薬剤師」も「かかりつけ薬局・かかりつけ薬剤師」も薬局窓口での「対物業務」と比べ、患者様とのコミュニケーションが密なものになります。ちょっとした変化に気づくことも大切ですが、体調のことや心配事、気になることなどを気軽に相談してもらえるような存在になる必要があります。

チームで協働する機会が増えると、疑問点があったら即座に医師や関係者に確認し臨機応変に対応するというような場面もあるでしょう。そのため、「患者様や協働するチームと円滑な関係が作れる高いコミュニケーション能力」が求められているのです。

このような業務は今後も増加が確実なため、チームで協働する業務や「対人業務」を苦手に感じる人、コミュニケーション能力に自信のない人には難しい状況になっていきそうです。

ポイント5「都心部の薬剤師転職が難しくなりつつある」

東京をはじめ、都心部の多くのエリアで薬剤師が充足し始めており、正社員求人の条件は厳しくなりつつあります。これまでの基準だった経験や知識に加え、人間力や社風とのフィット感を重視して採用する傾向があります。また、繁忙期を見越して正社員を採用するのではなく、派遣薬剤師の短期雇用で対応する薬局も増えています。

一方、地方や離島、郊外など都心部以外では薬剤師が不足しています。厚生労働省の「令和4年医師・歯科医師・薬剤師統計」によると、沖縄県、福井県、青森県では人口に対する薬剤師の数が非常に少ない状況です。また、統計上では十分な人数がいるはずの大都市でも、都心部では確保できるものの、郊外では確保が難しいのが現状です。

そのため、就業場所にこだわりがない場合は、薬剤師が不足している地域の求人を探せば都心部よりも良い条件の仕事を見つけることも可能です。都心部での転職をめざす場合は、きちんとした準備と対策をして臨むことが実現の鍵となるでしょう。

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現在の薬剤師を取り巻く状況が掴めたでしょうか。他の職業と比べたらまだまだ恵まれた状況である薬剤師ですが、以前の売り手市場だった頃を思い描いていると厳しいと感じることでしょう。薬剤師の資格があり、ある程度の経験があれば転職できた時代とは違い、書類選考や面接の対策も転職活動の中では重要な作業となります。

アプロ・ドットコムは薬剤師専門で25年以上の実績があります。蓄積したノウハウを活用し、あなた担当のキャリアアドバイザーがしっかりサポートします。応募の前にやっておくべき準備や履歴書・職務経歴書の書き方、面接での受け答えなど、具体的なアドバイスで転職成功へと導きます。

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