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薬剤師の仕事・働き方・キャリアに関するトピックスから、最新の薬剤師求人、派遣や単発派遣に関する法律やルールまで。薬剤師の最新事情に精通したアプロ・ドットコムのスタッフが、就職・転職に役立つ記事を配信いたします。
薬剤師のライフスタイル
パート・アルバイトで働く
2024.07.26
パート薬剤師としてほどよく働くために何を捨てる?何を取る?
- 薬剤師
- 派遣社員
- キャリア
- スポット派遣
- ワークライフバランス
- 子育て
薬剤師の働き方には正社員、派遣社員、パート・バイトなど、いくつか選択肢があります。それぞれメリット・デメリットがあり、どの働き方が合っているのかは人それぞれ。自分のライフステージや希望する働き方に合わせて選ぶことが大切です。
どんな働き方を選んだとしても、100%思い通りにはならないものです。だからこそ、最大限の希望を実現できる働き方を見極めましょう。
今回は、パート薬剤師という働き方を検討している人に向けて、アルバイト・パートの現状を紹介するとともに、気持ち良く働くために検討すべき点を紹介します。さらに、仕事が順調に回るようになった際の新たに検討できる点も紹介するので、あなたにとって何を取れば理想の働き方に近づけるのかを見つけるためにも、ぜひ参考にしてください。
まずはパート薬剤師とはどんな働き方なのかを、簡単にまとめておきましょう。
目次
パート薬剤師
パート薬剤師は、正社員と同様に病院やドラッグストア、薬局などの企業から直接雇用されます。ただ、正社員と違い非正規雇用に含まれ、多くは有期雇用ですが雇用期間は長いのが特徴。主な業務内容は、処方箋に基づく調剤、服薬指導、在庫管理などがあり、OTC医薬品の販売や相談対応も行います。
シフト制で働くことが多く、フルタイムから週2〜3日程度、あるいは1日数時間勤務などの時短勤務までさまざま。勤務先によっては土日・祝日のみの勤務も可能です。原則残業はあまりなく、勤務時間に融通が効くので正社員に比べてワークライフバランスが取りやすいのも魅力です。
給与形態は一般的に時給制で、経験や資格に応じて設定されます。専門性を活かしながら柔軟な働き方ができるため、「ほどよく働きたい」という人に向いている働き方です。
パート薬剤師の現状
では、パート薬剤師の現状はどうなっているのでしょうか。
収入
パート薬剤師の収入は、勤務先や地域、時間帯によっても大きく異なります。
・職場別ではドラッグストアが高時給
パート薬剤師の平均時給を職場別に見てみると、調剤薬局の平均時給が約2,000円~2,500円、病院が約1,800円~2,200円、ドラッグストアが約2,000円~3,000円です。病院勤務は安定してはいますが時給は低め、慢性的に人手が不足している調剤薬局やドラッグストアは高めの時給になっています。
ドラッグストアは人手不足に加え、本来の薬剤師業務以外に店舗業務もこなす必要があるなど業務も多岐に渡ります。責任も増えるため、さらに時給が高い傾向です。
・地域別では都市部よりも地方で平均時給が高め
薬剤師の全国平均時給は2,200円と高めではありますが、地域によっても差があります。一般的な職種は都市部など人口が多い地域のほうが高時給ですが、薬剤師の平均時給は都市部で1,800~2,200円、地方では2,000~2,500円となっています。
さらに都市部でも、「駅から近い」「人気のあるエリア」などでは、さらに時給が低いこともあります。比較的薬剤師が充足している都市部に対し、地方では人手不足が深刻化しているため、企業側が時給を上げてでも人材を確保したいという背景があるからでしょう。
・人手が足りない時間帯は時給が高い設定
地域と同様に、人手が足りない時間帯の時給は高い傾向です。時間帯で見ると、土日・祝日の平均時給相場は通常時の+100~300円、17時以降は+500円程度になっています。パートの場合、夕食から夜の時間帯を避けたい子育て世代や主婦・夫も多く、なかには人手不足の時間帯では1,000円程度アップという場合もあるようです。
月収・年収をシミュレーションしてみましょう。(1ヵ月は4週間で換算)
【フルタイムの場合】
フルタイムで1日8時間、月20日働く場合、時給の高いほうで月収を見てみると病院の時給2,200円では約35万円、調剤薬局の2,500円では40万円、もっとも高いドラッグストアの3,000円では48万円と、1ヶ月で最大13円の差になります。年収では病院約422万円、調剤薬局480万円、ドラッグストア576万円と、150万円近くの差です。
【時短勤務の場合】
1日6時間、月20日(週5計算)で働く場合は、病院の場合は月収約26万円/年収約317万円、調剤薬局では月収30万円/年収360万円、ドラッグストアなら月収36万円/年収432万円になります。
【1日6時間、週4日の場合】
パート薬剤師に多い1日6時間、週4日で働くとすると、病院の場合は月収約21万円/年収約253万円、調剤薬局では月収24万円/年収288万円、ドラッグストアなら月収約29万円/年収約346万円になります。
また、全国平均時給の2,200円で考えた場合は以下のとおりです。
・1日2時間×週3=月収52,800円/年収633,600円
・1日4時間×週2=月収70,400円/年収844,800円
・1日5時間×週3=月収132,000円/年収1,584,000円
収入面で実現しにくいこと
パートの場合は昇給やボーナスがないため、正社員と比べると給与は低くなります。さらに時給もなかなか上がらないのが現状です。収入重視の人や収入アップを期待する人にとっては、パート薬剤師で働くことに収入面でのメリットは少ないでしょう。
パートでも、「地方のドラッグストアに勤務する」「土日祝日や17時以降の時間帯にできるだけ入る」「なるべく長時間勤務する」といった形なら、通常よりも収入は高くなります。
勤務時間/勤務日数:融通が効き、自分のライフスタイルに合わせられる
パート薬剤師として働くママ薬剤師も多く、そのなかでも多いのが「1日6時間・週4日」勤務です。正社員なら一般的に時間固定の1日8時間、週5日のフルタイムで働くのが基本ですが、パート薬剤師なら自分のライフスタイルに合わせて「週3日」「1日4時間」「土日だけ」など、勤務時間や勤務日数を自分で決めることができます。
勤務時間・日数で実現しにくいこと
勤務時間や日数に融通が効くとはいえ、実際に自分が希望する勤務体制で必ずしも募集があるとは限りません。多くの人が希望する時間帯や日数の場合は、応募する人も増えるため競争率は高くなります。
さらに扶養内で働きたい場合や社会保険に加入したくない場合は、勤務日数の調整が必要です。時給が高めの薬剤師の場合は年収の壁を越えやすく、希望している勤務時間や日数分働けないということもあります。
ただ、駅から少し離れた郊外や地方なら、希望通りの勤務時間や日数で働ける求人が見つかることも。希望に達していないとしても時給の高さでカバーできることもあるでしょう。時間帯や勤務日数重視なら、通いやすさを諦めれば、希望に合う求人が見つかる可能性もあります。
キャリア
雇用期間に期限があるとはいえ頻繁な更新があるわけではなく、ブランクを作らずに済みます。また、異動や転勤もほぼありません。転職や次の仕事探しに労力をかける必要もなく、住み慣れた地域や慣れ親しんだ環境で働き続けられるので人生プランが立てやすいのがメリットです。
また、病院、ドラッグストア、調剤薬局などのパート募集は、薬剤師資格さえあれば現場未経験歓迎の場合も多く、未経験業務へのチャレンジもしやすいのは魅力でしょう。
キャリア面で実現しにくいこと
正社員とあまり違いはないように見えますが、業務内容も限られるため、役職に就くなどのキャリアアップは期待できません。
ただ、パート薬剤師としての勤務ではキャリアアップはめざせなくても、安定している環境を利用して資格の勉強をしたり、今後のキャリアアップに向けて知識を蓄えたりすることは可能です。キャリアアップを視野に入れるなら、今すぐキャリアアップをめざすのはいったん諦めるとしても、可能な環境になった時のために今から準備をすることも有効です。
社会保険
パート薬剤師の社会保険加入は、収入や勤務時間によって異なります。
・年収の壁
・103万円の壁:年収が103万円を超えると所得税が課税されます。
・106万円の壁:企業によっては社会保険加入が必要になり、手取り額は減少します。
・130万円の壁:全ての人が社会保険に加入する必要があります。
・150万円の壁:
世帯主の年間合計所得金額が1,000万円以内の場合、本人の年収が150万円までは配偶者特別控除の満額が適用されます。この対象から外れると世帯主の収入が減る、という配偶者特別控除の「満額適用限度額」です。
・201万円の壁:
世帯主の年間の合計所得金額が1,000万円以内の場合、本人の年収が201万円までは配偶者特別控除の対象です。この対象から外れると世帯主の収入が減る、という配偶者特別控除の「適用限度額」です。
年収130万円以上になると社会保険への加入が必要になりますが、106万~129万円の場合でも次の条件をすべて満たす場合は社会保険の加入が必要です。
社会保険の加入条件
1. 所定労働時間が20時間以上、雇用期間が2ヶ月以上見込まれる場合
2. 手当・賞与を除く1ヶ月の賃金が8.8万円を超える場合
3. 学生ではない場合
4. 従業員数が101名以上の企業(2024年10月からは51人以上に拡大予定)の場合
ここまで見てきたように、パート薬剤師としてほどよく希望に近い働き方ができるかどうかは、何を優先するかによってだいぶ変わってきます。まずは自分の希望条件をリストアップして、それが必須条件なのか、できれば叶えたい条件なのか、妥協できる条件なのかを見極め、そのなかでも優先順位を考えてみましょう。
自分の希望に沿うためには、捨てがたい条件でも諦めなければならないこともあります。自分の中で優先順位がはっきりしていれば、結局迷って結論が出ないということも避けられ、自分に合う求人を見つけやすくなります。
仕事がうまく回るようならプラスアルファで挑戦できること
人間関係や職場環境に問題や不満もなく、仕事にも慣れて業務も問題なくこなせるようなら、パート薬剤師はさまざまなことにチャレンジできます。
・さらなる収入アップ
時間に余裕があるなら、勤務時間や勤務日数を徐々に増やすことも考えられでしょう。パート薬剤師は副業が認められていることが多く、さらに6時間未満の勤務では休憩時間を取る義務はないため、その分の時間で複数の勤務先を掛け持ちして効率的に働くこともできます。希望時間帯での勤務を交渉して時給のより高い勤務時間帯で働くなど、収入アップをめざすことも可能です。
・さらに条件の良い職場に転職
薬剤師は求人が多く、転職しやすいのもポイント。パートで働きながら資格を取るなどしてスキルアップをし、より条件の良い職場への転職もめざせます。
・プライベートを充実させる
勤務時間や日数を自分のライフスタイルに合わせて選べるのがパート薬剤師のメリットのひとつ。仕事がうまく回るようになれば、推し活など自分の趣味を充実させたり、家族と過ごす時間を増やすなど、プライベートに力を入れたり余裕のある生活をしたりすることも可能です。
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自分に合った働き方を見つけるというのは、簡単なようで難しいもの。自分がどうしたいのか、どういう働き方をすれば気持ち良く働けるのかというのは、自分でもあまりわかっていないことかもしれません。
今回紹介したように、パート薬剤師として働くなら、自分の希望をしっかりと明確にして優先順位をつけることが大切です。優先順位がわかっていれば、「やっぱりあの求人を選ぶべきだった」と後から後悔することも、自分に合った求人を逃すこともありません。
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