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薬剤師の仕事・キャリア

2025.02.10

調剤薬局やドラッグストアの薬剤師の仕事が変わる?

高齢者に薬の説明をする薬剤師
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薬剤師の資格を活かして働く職場といえば、調剤薬局やドラッグストアを思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。実際に、薬剤師として働いている人の約6割が就業しているといわれています。

そんな調剤薬局やドラッグストアでの薬剤師の仕事が、どんどん変化を遂げている最中にあることはご存知でしょうか。要因として、業務形態の変化、IT化やAI技術の進化による業務の機械化などがあります。さらには薬剤師資格保有者の増加、薬剤師資格職の有効求人倍率の低下など、薬剤師を取り巻く環境も変わってきているため、将来に不安を感じている人もいるかもしれません。

最近は、「薬剤師の仕事がなくなっていくのではないか」「薬剤師として働き続けることはできないのではないか」という不安の声が聞こえてくるようになりました。実際には薬剤師の仕事がなくなることはありませんが、これまで通りのやり方で働き続けるのは厳しくなるかもしれません。今回は、薬剤師の現状、今後の変化の見通し、この先薬剤師に求められるスキルなどについてレポートします。

薬剤師を取り巻く現在の環境

まずは、メインとなる薬剤師の仕事内容を整理しましょう。

・調剤薬局

調剤薬局での仕事は、医師が発行した処方箋に従って調剤、服薬指導、薬歴管理、疑義照会などを行うことです。以前はほとんどが病院の目の前にある門前薬局で、病院の診療時間にあわせた営業でした。現在は街中や商業施設の中にも店舗ができており、働き方のバリエーションが増えています。

・ドラッグストア

ドラッグストアでの薬剤師は、OTC医薬品の販売に伴って服薬指導や副作用の説明をしたり、お客様の健康相談に対応したり、さらには売り場作りや接客、レジなども担当します。調剤薬局併設店舗の場合、保険調剤業務に携わることもあります。

薬剤師を取り巻く環境の変化

それでは、調剤薬局やドラッグストアでの仕事がどのように変化してきているのか、トピックスごとに解説していきます。

・調剤業務の機械化やAI導入でどう変わる?

これまで調剤業務はすべてを手仕事で行い、記録も手書きの薬局が多くありました。そのため、一人ひとりの業務量が多く、ただ目の前の処方箋をこなしていくような感覚に陥ってしまう人もいたのではないでしょうか。

現在では、多くの薬局で機械による自動化が進んでいます。中小の薬局では部分的な導入になりますが、大手や効率化を重視している薬局では、自動化の範囲がかなり進んでいる状況です。調剤、一包化、軟膏の混合などの作業も技術の進化により、指示を出せば自動で作業を行なってくれます。

また、2019年に厚生労働省から「調剤業務のあり方について」という通知が発表されました。それにより「調剤に最終的な責任を有する薬剤師の指示に基づき当該薬剤師の目が届く場所であれば、薬剤師以外の者がピッキング、一包化した薬剤の数量確認など一部の業務を行うことができる」と明示されました。これまでグレーゾーンとなっていた作業が正式に許可されたことで、資格保有者ではなくても薬剤師に代わり一部作業を行えるようになりました。

機械による自動化、無資格者による業務代行により業務の効率化が進み、従来薬剤師だけが担っていた仕事が減る可能性が高まっています。さらに、多くの薬局が薬歴の記録や調剤報酬請求などの管理を、手書きからデジタルに変更し始めています。

データ化されたことにより、薬歴管理や重複投与、併用禁忌薬剤のチェックなどもAIが自動で検証できるようになってきています。現時点ではすべてをAIに任せることはできませんが、将来的には受付、調剤、薬歴管理などすべてが自動化していく流れになるでしょう。

これらの機械化やAI化などは、薬剤師を減らすために進めているわけではありません。薬剤師には、経験を活かした専門的な仕事や、機械では対応できない対人業務などに従事してほしいというニーズがあってのことです。これからの薬剤師には、従来の薬剤に関する知識に加えてより専門性の高い知見と、AIには代行できない高度なコミュニケーションを取ることが求められるでしょう。

・調剤併設のドラッグストアの増加でどう変わる?

調査によると、2023年時点でもドラッグストアの店舗数は右肩上がりを続けており、総売上高が初めて9兆円を突破しています。また、併設薬局の調剤額は伸び率約10%を毎年続けており、今回総売上高の15%を超えるなど、調剤併設のドラッグストアは順調に増えている状況です。

ドラッグストアはただ商品を販売するだけでなく、地域の医療インフラとしても期待されています。店舗数の増加、調剤併設店の増加により、ドラッグストアに勤務する薬剤師は今後さらに増えて行く見通しです。

従来のドラッグストアではOTC医薬品の販売に加え、レジ対応、品出し、在庫管理などの業務がメインとなっていました。一方、調剤併設の店舗では調剤、服薬指導、薬歴管理といった薬剤師ならではの業務の比率が上がることになります。

また、調剤併設店舗の場合、地域のお客様の健康をサポートするという側面が強くなり、店頭で健康に関するさまざまなイベントを開催することもあります。血圧の正しい計測の仕方を知る、体組成計で自分の体を把握する、病気を予防し健康を保つためのサプリメントを紹介する、管理栄養士とともに食事の提案をするなど、さまざまなイベントに企画から関わることも増えるでしょう。

ドラッグストアの場合、遅い時間まで営業している店舗が多く、24時間営業の店舗も少なくありません。さらには土日や祝日も営業しているため、薬剤師がシフト制で出勤している店舗がほとんどです。病院に行く時間が取れないというお客様が頻繁に来店するのも特徴です。

そのようなお客様に対して、症状をヒアリングし、適したOTC医薬品をアドバイスするのも薬剤師としての重要な仕事です。調剤併設店であっても、OTC医薬品や店舗で扱っている商品に対する知識を身につけることは必須となります。

・地域密着・かかりつけ薬剤師のニーズ増加でどう変わる?

高齢化が進む中、厚生労働省は「高齢者が住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けられること」をめざし、「地域包括ケアシステム」を推し進めています。この地域包括ケアシステムによる在宅医療の推進により、かかりつけ薬剤師のニーズが高まっています。

かかりつけ薬剤師とは、患者様が自分のかかりつけとして1人の薬剤師を指名する仕組みです。在宅で療養している人だけでなく、薬の管理が難しいと感じる高齢者や、複数の医療機関を受診していて多量の薬を服用している人など、さまざまな人が利用しています。

複数の医療機関から同じ種類の薬が重複して処方されていないか、飲み合わせに危険性のある薬が処方されていないかなどをチェックすることは不可欠です。さらに、服薬指導、薬の飲み残し、副作用の有無を確認したり、患者様からの健康相談を受けたり、主治医、医療機関、介護や福祉サービスとも連携してサポートします。

これまで薬剤師は、患者様と関わるのは店舗で投薬する時だけでした。処方箋を持ってきた患者様に服薬指導をして薬を渡したら、きちんと最後まで服薬しているのか、体調に変化はないのかなど、その後の状況を見守ることはできませんでした。

今後は「地域包括ケアシステム」により、患者様の生活にしっかりと関わり、さまざまな分野の専門家とともに地域のチーム医療の一員として患者様を見守るという役割が与えられることになります。患者様やご家族との長期に渡るお付き合いのなかで、適切なケアができることは大きなやりがいにつながるでしょう。

薬剤師にこれから求められるスキル

環境が変わっていく中で、これからの薬剤師に求められているスキルとはどのようなものがあるのでしょうか。

・コミュニケーション力

これまで以上に求められるスキルが「コミュニケーション力」です。薬剤師の仕事は、従来の「対物」業務から「対人」業務へシフトし始めており、機械やAIではできない業務の筆頭がコミュニケーションです。

コミュニケーション力といっても、「ニコニコしている」「愛想がいい」「楽しい話をする」というような感じの良さを求められているわけではありません。大事なのは、患者様に信頼してもらえるようになること。そのためには、「相手の立場に立って考える」「しっかり話を聞く」「患者様の納得がいくまで対応する」「わかりやすい説明を心がける」など、一つひとつの行動の積み重ねが必要です。

患者様、ご家族、医師、看護師などの医療関係者、ケアマネジャーなどの介護関係者など、地域医療の場では関わる人数が多くなります。関係者それぞれに対して適切なコミュニケーションが取れるスキルは必須といっていいでしょう。薬剤師としてステップアップしていくためには、今まで以上に高いコミュニケーションスキルを身につけることが求められます。

・服薬指導スキル

調剤や一包化などの作業が機械化される中、薬剤師に一番求められるのは薬に対する専門知識を噛み砕き、わかりやすく伝える服薬指導のスキルです。相手の理解度を確認したり、表情を読み取って対応を変えたりといった、患者様それぞれに適切な説明をする応用力、臨機応変力を発揮することが求められます。

特に高齢者の場合は、よく聞こえなかったり、意味がわからなかったりする場合でも、何度も聞き返すのは悪いからと遠慮してしまうケースが多いため、注意深く観察し対応することが求められます。瞬時に判断して対応を変化させるようなきめ細やかな服薬指導スキルは、AIが進化しても必要とされる能力でしょう。

・在宅医療や地域の健康サポートへの対応力

前述の通り「地域包括ケアシステム」が推進されていることから、薬剤師も地域密着型の業務に携わる機会が増えていきます。在宅で療養している患者様一人ひとりに寄り添い、適切なサポートができる「かかりつけ薬剤師」のニーズは、増加傾向にあるといえるでしょう。

かかりつけ薬剤師は、夜間や休日も含め、24時間対応できるような環境を用意する必要があります。また、かかりつけ薬剤師になるには以下の条件が必須です。

・薬局に3年以上勤務している

・同一薬局に週32時間以上勤務している

・現在勤務している薬局に1年以上在籍している

・薬剤師認定制度認証機構が認証している研修認定薬剤師の資格を取得している

・医療に関わる地域活動に参加している

地域の調剤薬局で勤務しながら、医療に関わる地域活動の一環としてイベントなどに参加することも必要です。薬局でお客様向けのイベントを開催し、地域の皆さんと交流することで、コミュニケーションスキルを身につけることもできます。普段のイベントなどを通じて信頼関係を築くことができれば、いざという時にかかりつけ薬剤師として指名してもらいやすくなるでしょう。

・多言語対応

外国人観光客や日本で生活する外国人が増えています。都市部はもとより、地方都市でも外国人居住者は増えているため、語学ができる薬剤師の需要は高まっています。英語はもちろん、複数言語が操れる薬剤師は重用されるでしょう。外国語取得に興味がある人は、スキルアップに挑戦してみるのもいいのではないでしょうか。

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「将来はかかりつけ薬剤師として活躍したい」「子供が大きくなるまでの間にコミュニケーション力を磨きたい」「研修認定薬剤師の資格を取りたい」「準備が進められる職場で働きたい」「かかりつけ薬剤師になってみたいけれど不安の方が大きいので実際の様子について具体的な話を聞きたい」など、さまざまなキャリアプランがあります。

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